【7月17日 AFP】中国当局は、清朝の美術品とされる漫画風のキャラクターが描かれたつぼなど、偽物の展示品を多数展示していた博物館を閉鎖した。国営メディアが16日、伝えた。

 環球時報(Global Times)によると、中国北部河北(Hebei)省に約5億4000万元(約87億円)をかけて作られた博物館について地元当局者は、「コレクションが偽物のため、博物館としての認定はされない」と述べている。

 同紙によれば、この博物館は閉鎖されており、また地元住民が「無駄遣い」を指摘したため、博物館の創設者らに対する取り調べが行われているという。

 国営の中国国際放送(China Radio InternationalCRI)は、笑顔のイカのような絵を含む、漫画風の黄緑色の動物が描かれたつぼの写真を掲載した。このつぼは、清朝の遺物として展示されていた。

 また上海日報(Shanghai Daily)によると、博物館の12の展示室には、紀元前の中国を統治したと伝承される「黄帝」の署名が入った展示品が複数あった。だが、この署名は簡字体で書かれていた。簡字体は、1949年に政権を獲得した中国共産党が制定したものだ。

 中国のある骨董品専門家は、「利益を得ることを目的とした偽の博物館は中国各地に存在する」とCRIに語った。

 環球時報は、博物館のオーナーで地元の共産党トップのWang Zongquan氏が「持ち込まれたものを何でも買う」として地元住民の間で知られていたと伝えた。

 また、新京報(Beijing News)によると、博物館周辺にある村の住民は、Wang氏が100~2000元(約1600~3万2000円)で4万点の偽の展示品を購入したと話しているという。

 住民らは、土地使用権で得た収益を博物館建設に注ぎ込み、村の資源を無駄遣いしたとしてWang氏を非難している。

 中国の骨董品市場には偽物が多く存在しているとされる。また中国は、著作権侵害に対して放任主義的な態度を取っているとして、多国籍企業から非難を浴びている。(c)AFP