【7月5日 AFP】1993年に英リバプール(Liverpool)で10歳の少年2人が2歳の男児を殺害した事件で、英国史上、最も残忍な殺人犯の1人とされるジョン・ベナブルズ(Jon Venables)受刑者(29)が仮釈放される見通しが4日、明らかになった。

 仮釈放委員会は同日、「全ての関係者が仮釈放の決定を確認した。ベナブルズ服役囚は釈放される」との声明を発表した。

 ベナブルズ受刑者は10歳だった1993年、同い年の友人ロバート・トンプソン(Robert Thompson)元受刑者と共にリバプールのショッピングセンターで被害者のジェームズ・バルガー(James Bulger)ちゃん(当時2)を連れ去り、れんがや鉄棒で殴って殺害した後、遺体を線路上に遺棄した。幼い子どもを残忍な手法で殺害した事件は、当時の英国を震撼(しんかん)させた。

 2人は無期懲役を言い渡され服役していたが、少年犯だったことが考慮され2001年、改名などされた上で仮釈放された。

 だが2010年7月、ベナブルズ受刑者は児童ポルノ法違反に関連する3件で有罪となり、再び収監された。同受刑者は児童ポルノ写真57枚を自分のパソコンにダウンロードしたり、児童のわいせつ画像を配信していたことを認めた。

 ベナブルズ受刑者の仮釈放決定に、ジェームズちゃんの母親のデニース・ファーガス(Denise Fergus)さんは「信じられない。この先、どうやって再び耐えていけばいいのか」とツイッター(Twitter)に書き込んだ。

 ジェームズちゃんの父親ラルフ・バルガー(Ralph Bulger)さんの弁護士、ロビン・マキン(Robin Makin)氏は、ベナブルズ受刑者の仮釈放は、ジェームズちゃんの家族にとって現実の悪夢が続くことを意味すると述べた。また同受刑者を自由の身にするという無謀な決定は、新たな問題を生み出すと指摘。「ジョン・ベナブルズは1度は殺人を犯した性犯罪者だ。彼は子どもへの性的虐待によって明らかに『究極の興奮』を得ている」と批判している。

 さらにマキン氏は、ベナブルズ受刑者に別名で人生をやり直させるのは無駄だったことは、前回の仮釈放で分かったはずだと付け加えた。(c)AFP