【6月27日 AFP】故マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんの急死をめぐり、家族が公演主催会社のAEGライブ(AEG Live)を相手取って米カリフォルニア(California)州で起こした民事訴訟で26日、マイケルさんの長男プリンス(Prince Jackson)さん(16)が出廷し、死の直前にマイケルさんがAEGライブに「殺される」と語っていたと証言した。

 AEGライブは、マイケルさんが急逝した翌月に企画されていた英ロンドン(London)公演『ディス・イズ・イット(This Is It)』の主催会社。予定ではマイケルさんはロンドンで50公演を行う計画で、死亡した当時はリハーサルに追われていた。

 マイケルさんの死をめぐっては、慢性的な不眠症に悩んでいたマイケルさんに治療薬としてプロポフォールを処方したコンラッド・マーレー(Conrad Murray)医師が刑事訴追され、2011年に過失致死の罪で禁錮4年の刑を言い渡され現在、服役している。マイケルさんの家族は今回の民事訴訟で、AEGがマイケルさんの専属医としてマーレー受刑者を雇用し続けたのは過失だと訴えている。

 一連の裁判では、「ポップの帝王」と呼ばれたマイケルさんの健康が急激に悪化した詳細が数々の証人によって語られている。

 マイケルさんの急死からちょうど4年と1日が過ぎた26日、証言台に立ったプリンスさんは、生前のマイケルさんが「もっとリハーサルの時間が欲しい」とこぼしていたほか、しばしば電話口で取り乱していたと語った。電話の相手は、AEGの最高経営責任者であるランディ・フィリップス(Randy Phillips)氏のことが多かったという。

「父はよく声を荒らげていた。『あいつら、僕を殺す気だ』と言ったので、誰のことかと尋ねたら『AEGの奴ら、特にランディ・フィリップスだよ』と答えた」

 プリンスさんはまた、マイケルさんがロサンゼルス(Los Angeles)郊外ホーンビーヒルズ(Holmby Hills)にある邸宅で死亡した2009年6月25日についても証言。マーレー受刑者がマイケルさんの蘇生を試みている間、妹のパリス(Paris Jackson)さんは泣き叫んでいたと語った。

「1階の居間にいたら2階から悲鳴が聞こえた。(専属シェフの)カイが不安そうな顔でマーレー医師が僕を呼んでいると言ったので、2階に駆け上がると、マーレー医師が父にCPR(心肺脳蘇生法)処置をしていた。その間中、マーレー医師は叫び続けていた」

「そこへ妹が上がってきた。パパを返してとずっと泣き叫んでいた」

 プリンスさんは涙をこらえながら、マイケルさんが救急車で病院に搬送されたときのことも証言した。子供たちも別の車で後を追ったが、病院に着くとマーレー受刑者から「残念だが、君たちのパパは死んだ」と言われ、みんなで泣いたという。マイケルさんは生前、いつも子供たちに「僕は天使に守られているんだ」と話していたという。(c)AFP/Romain Raynaldy