【6月11日 AFP】経済危機に苦しむキプロスの首都ニコシア(Nicosia)で10日、あるアーティストが石こうで作った「便器」を中央銀行の前に並べるという奇妙な抗議行動に出た。金融支援を受けた経済が下水に流れ落ちている、というメッセージだという。

 作者のキプロス人アーティスト、アンドレアス・エフスタシオ(Andreas Efstathiou)氏(49)によれば、同国が欧州連合(EU)などから100億ユーロ(約1兆3000億円)の金融支援を得る見返りとして、銀行預金に課税するという異例の条件を受け入れて以来、キプロスが抱える苦痛を「象徴する抗議」だと言う。

「私はこのインスタレーション・アートを通じ、キプロスで起きた悪いことに対する視覚的な抗議を行っている」と、エフスタシオ氏はキプロス通信(Cyprus News Agency)に語った。「中央銀行の前を通った人たちは、並べられた便器を見て、何が起きてキプロスがここまでの状態に至ったのかを理解してくれるだろう」

 このインスタレーション・アートは、前から見れば便器に、後ろから見れば墓石のようにも見えるという。(c)AFP