【5月24日 AFP】英ロンドン出身のアーティスト兄弟、ジェイク・アンド・ディノス・チャップマン(Jake and Dinos Chapman)が、数万体の極小フィギュア使ったインスタレーション作品「The Sum of all Evil」の展示が、22日から香港の画廊「ホワイトキューブ(White Cube)」で始まった。2人にとって中国での展覧会は初となる。

 チャップマン・ブラザーズとも呼ばれる2人の最新作は、99年発表の「Hell」や08年の「Fucking Hell」に続くもの。拷問されるナチス・ドイツ兵や骸骨、血まみれの死体、十字架に磔(はりつけ)にされたマクドナルド(McDonalds)のキャラクターなどをかたどった極小フィギュアを大量に用い、戦争や大量虐殺、この世の終末や大量消費主義における「悪」などをテーマとしている。

 画廊での取材で弟のジェイク・チャップマン(Jake Chapman)氏は「芸術活動やアート作品が、資本主義市場の先駆的なオブジェだとは思いたくないが、究極的にはそうなっている。そうしたプロセスとの関わりの中で、僕たちの作品であることを証明する一つの方法は、間違ってもポジティブな捉えられ方をしないよう、作品をできる限りひどいものにすることだ。できる限り皮肉で、悲観的で、非人間的にする」と語った。

 近くでは国際アートフェア「アート・バーゼル(Art Basel)香港」が開催中だが、ジェイク氏はこのフェアを「ビッグショップ」と呼ぶ。「もしもアーティストだったら、あなたは自分がやっていることが商品ではなく何か文化を生み出しているのだと信じる特権を自分に認めると思う。その実、アートが関係しているのは文化ではなく商品を生むことだ。アートフェアへと出かけて、その恐ろしい真実にわざわざ近づく必要なない」と述べ、大規模なフェアからは距離を置くに限ると語った。(c)AFP