【5月15日 AFP】橋下徹(Toru Hashimoto)大阪市長が第二次世界大戦(WWII)時のいわゆる「従軍慰安婦」は軍の規律維持のために「必要だった」との認識を示し、日本に駐留する米兵に風俗産業の利用を認めるべきだと発言したことに対し、沖縄県の25の女性団体は15日、謝罪と発言の撤回を求める声明を連名で発表した。

 日本維新の会(Japan Restoration Party)の共同代表を務める橋下氏は13日、一部の女性が「意に反して」旧日本軍の兵士に性的サービスを提供していたことを認め、「戦争の悲劇」から生まれたものだと述べていた。

 一方で橋下氏は、国が慰安婦になるよう強制したという証拠はないと述べるとともに、慰安婦制度は日本だけの特別なものではないと語った。また、戦争中の兵士による許せないような暴力行為の「事実は山ほどある」と述べ、「そういうのを抑えていくためには、一定の慰安婦みたいな制度が必要だったということも厳然たる事実だと思う」と述べていた。

■政府は距離置く、石原氏は支持表明

 菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は14日、橋下氏の発言に対して直接コメントすることは避けつつ、「政府の立場は、筆舌に尽くしがたいつらい思いをした方々の思いに心が痛むというものだ。安倍内閣も歴代内閣と同様の認識だ」と語った。

 日本政府は1993年、従軍慰安婦が「数多の苦痛」を経験したとして「心からお詫びと反省の気持ち」を示した。その2年後、日本政府は戦争で苦痛を与えたことに「深い反省」を表明し、より全般的な謝罪を行った。だが1993年の談話に対しては、国が直接、女性を強制した事実はないとする保守派らが、今もなお強く反発している。

 橋下氏は13日、日本には戦争の責任があり、被害者に配慮をしていくことが必要だと呼び掛けた。「意に反して慰安婦になってしまった方は、戦争の悲劇の結果でもある。戦争の責任は日本国にもある。心情をしっかりと理解して、優しく配慮していくことが必要だ」

 一方、元東京都知事で日本維新の会の共同代表、石原慎太郎(Shintaro Ishihara)氏は14日、「軍と売春は付き物で、歴史の原理のようなものだ。決して好ましいものではないが基本的に彼は間違ったことは言っていない」と語り、橋下氏を擁護した。(c)AFP