【4月26日 MODE PRESS】表参道の新名所として注目されている複合商業施設「オーク表参道」が4月4日、オープンした。エンポリオアルマーニやコーチと並んで、日本初の旗艦店を構えたのがプレミアムポーションコーヒーで世界市場をリードしている「ネスプレッソ(NESPRESSO)」だ。表参道に面した総面積約380㎡もの広さを誇る同店は、全面ガラス張りで自然光が差し込む美しい構造となっている。1階ではコーヒーメーカーやカプセルコーヒーの購入以外にも、試飲などができるテイスティングエリアが設けられており、階段をあがると、2階にはネスプレッソクラブメンバーに向けたコーヒーセミナーの開催をはじめとしたあらゆるスペシャルな体験を提案するセミナー施設が広がる。

■世界中の人々を魅了するワケ

 従来の“コーヒー”という概念を逸脱した、16種類の味も原産地も異なるこだわりのカプセルコーヒーは、香りと味わいがひとつひとつしっかりとした個性を持っている。「グラン・クリュ」と名付けられた独自のカテゴリーは、いわゆる私たちが慣れ親しんだ単なる「コーヒー」とはまるで違う。たとえて言うならば、スパークリングワインなのか、それともシャンパーニュなのか。それでいえばネスプレッソは、後者にあたるだろう。味わい深いその飲み物は、世界中で多くの人々を魅了している。

 ネスプレッソ最大の特徴でもある、16種類の定番「カプセルコーヒー」のなかには、ネスレ ネスプレッソ社が厳選した、それぞれに応じたブレンド・焙煎・挽豆などを経たこだわりのコーヒーが詰まっている。もちろん、味に対しての並々ならぬこだわり様は特筆すべきに価する。唯一無二のアロマを提案するそのカプセルは、現在、エスプレッソ7種(デミタスカップ40mlまたは25ml向け)、シングルオリジンエスプレッソ3種(産地にこだわり、単一の原産国から選んだ質の高い豆のみを使用)、ルンゴ3種(ロングカップ用)、デカフェ3種(カフェインレス)から構成されている。

 ネスプレッソだからこそ実現できる製品は、味や原産地へのこだわりだけでなく、その豆、カプセルコーヒーが出来上がる工程に至るまで責任を持つ。高品質なコーヒー豆を将来にわたって確保し、コーヒー豆農家の生活を保障することを約束するサステイナブルな取り組み「AAAサステイナブル・クオリティ(持続可能品質)プログラム」によって、社会環境に与える影響をも管理している。そんな徹底したブランドのこだわりと、管理体制を日本で指揮しているのが、ネスレ ネスプレッソ株式会社のロイック・レトレ社長だ。ネスプレッソブティック表参道のオープンに際して、詳しく話を聞いた。

■インタビュー:ネスレ ネスプレッソ株式会社:ロイック・レトレ社長

-年々成長遂げるネスプレッソブランド、その要因

「今から約27年前に、ネスプレッソは日本に上陸し、さまざまな時代の流れを経て現在に至ります。いろいろな意味で記憶に残る2011年を経て、ネスプレッソは年々、ブランドとしてのパワーを増してきています。また去年は二桁台の成長を達成することができ、一昨年同様、毎年売上を伸ばしています。これらの兆候は、実はもうずいぶん前から始まっていたと我々は感じていました。不況の影響もありましたが、自宅に人を呼ぶという習慣が日本でも根付いてきていることもあり、ネスプレッソが今、徐々に定着してきはじめたのだと思います。震災の影響で家や環境、家族や絆など・・・そういったものを大事にする傾向がどんどん加速していったと思います」

-日本市場への期待値

「ここ数年で知名度、人気ともに定着してきたなかで、今回の表参道ブティックのオープンを迎えることができました。これまでの日本市場での成果、そして成功の事例として、今後ますますネスプレッソブランドを拡大していきたいという願いもあり、大々的にオープンしました。我々は日本市場のポテンシャルの高さには、とても期待しています。というのも、やはり日本人の皆さんは味に対するこだわりが非常に強く、探求心、そして好奇心が旺盛です。美味しい物があれば積極的に味わい、楽しむ方法を熟知しています。そういった点からも、うちの商品は日本人の方にぴったりではないかと思います」

-表参道ブティックの魅力

「東京では初の路面店、日本の旗艦店となります。東京近郊に住んでいる方にとって、“自分たちの”家のような、特別なブティックにしたい。それに1階と2階合わせて約380㎡の広さがあるのでゆったりとした空間のなかで、今までにない体験ができるのではないかと思います。2階の『コーヒーエクスペリエンスセンター』では、ネスプレッソコーヒーの専門性をアピールする代表的な場所として、さまざまなコンテンツの発信を積極的にしていきたいと思っています」

-見えないモノの価値が価値を生む

「日本の市場で、最近特に求められるのは『体験』や『サービスの質』ですが、我々もその点には重きを置いています。味には自信と責任をもちろん持っていますが、それ以外の点においても同様に、完璧なフォローができるような体制を常に心がけています。味に関することやマシンに関することまで、お客様が必要な時に必要な要望にはなるべく答えたい。そのためにもカスタマーセンターは24時間体制で運営しています。我々のコーヒーは、1杯70円から80円で、いわゆる高級なコーヒーです。お店で飲む値段と比べればもちろん、安いのかも知れませんが、一般家庭で飲まれているものと比べれば高いと思われるかもしれない。しかし、いま世の中の人々のライフスタイルが大きく変化している過渡期においては、価値観や体験という、物質的な価値ではなく、目に見えない価値を求められる。それだけ日本が成熟してきたという証拠です。色々な物を知り尽くした人たちの次なる要望に答えるためにも、このエクスペリエンスセンターは大きな意味を持っています。日本人はそもそも勉強することが好きですから、物への理解も並々ならぬポテンシャルを持っている。この場所をきっかけに、ブランドとお客様との結び付きを、より一層強くしていければと願っています」

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 ここ数年、ネスプレッソの成長ぶりには目を見張る物がある。東北大震災と時を同じくして発売したコーヒーメーカーも、一時は販売数の伸び悩みが懸念されたが、震災後の売れ行きはだれもが驚く売れ行きと結果を出した。また、急成長するプレミアムポーションコーヒーの世界で、独自のブランド戦略とマーケティングにより、圧倒的な個性を発揮し、競合他社に差をつけているのも周知の事実だろう。表参道のど真ん中に構える大きなブティックを軸に今後、どのようにして新規顧客開拓をし、ネスプレッソ人口を増やしていくのか、今後益々注目が集まる。【岩田奈那】(c)MODE PRESS