【4月15日 AFP】持続可能な資源に由来する海水魚をラベル認証する世界最大のプログラム「MSC(海洋管理協議会、Marine Stewardship Council)」の認証基準が緩く、消費者の「判断を誤らせる」可能性があると批判する論文が、13日の専門誌「Biological Conservation」に掲載された。

 研究によると、MSCに対する異議申し立て19件のうち、これまでに支持されたのはわずか1件のみ。異議申し立てには、漁獲の長期的な影響についての知識不足や、絶滅の危険性のあるサメやカメを予期せずに捕獲してしまうこと、海底に生息する生物への底引き網漁業の影響などが含まれていた。また、誤ったラベル付けがなされた事例もあったという。

「持続可能な漁業についてのMSCの規則は基準が緩く、裁量の範囲が大きすぎるため、第3者認証機関や仲裁者らによる過度な拡大解釈を許している。つまり、MSCラベルは消費者と保護活動募金者の両方の判断を誤らせている可能性がある」と論文は述べた。

 MSCは1997年、世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)と、2005年までに全ての魚を持続可能な資源から調達することを目指していた食品・家庭用品大手ユニリーバ(Unilever)との共同プロジェクトとして創設された。

■MSC側は「独立、公平、透明」と反論、研究の「利益相反」を指摘

 MSCはこの批判に対し、認証プロセスは「独立、公平、透明」であると反論し、批判論文の方法論を攻撃。論文で取り上げられた異議申し立ての3分の1が、研究者の一部と研究チームを雇用した非政府組織(NGO)により提出されたものであることを指摘し、研究には利益相反があるようだと述べた。

 またMSCによれば、異議申し立て事例のうち9件では、実際に認証を与えはしたものの、追加で13件の条件を満たすよう求めたという。さらに、異議申し立てがなかった事例でも、過去に9件の認証を拒否しているとMSCは述べた。(c)AFP