【4月7日 AFP】五輪の男子ボクシングで2連覇を達成した中国の鄒市明(Shiming Zou、ゾウ・シミン)が6日、マカオ(Macau)で行われたフライ級4回戦でプロデビューを果たし、エレアサル・バレンスエラ(Eleazar Valenzuela、メキシコ)を判定の末に下した。

 鄒は、北京五輪ロンドン五輪で連覇を達成し、これまで3度のアマチュア王者に輝いた経験を持っており、早くもタイトルマッチへの挑戦を見据えていると語った。

 4ラウンドの接戦を繰り広げた鄒は3人のジャッジから40-36の判定を受けて勝利を飾り、30万ドル(約2900万円)のファイトマネーを稼いだと報じられている。

 31歳の鄒は中国で初めて成功を収めたボクサーであり、アマチュアボクシングで頂点を極めた後に待望のプロデビューを飾った。故毛沢東(Mao Zedong)主席支配下の中国では禁止されていたボクシングだが、鄒の登場によって中国に眠る億単位のテレビ視聴者を引きつけられると期待が高まっている。

「黄金の拳(Fists of Gold)」と銘打たれた試合は、中国の富裕層を顧客に持つ高級カジノ・リゾートホテル、ベネチアン・マカオ(The Venetian Macau)が会場となり、プロモーターのボブ・アラム(Bob Arum)氏によって米ボクシング界の華やかさ持ち込まれた。

 顔に複数の傷を負った鄒は試合後、「プロの試合で戦うことはまったく新しい経験だった。たったの4ラウンドだが、ルーキーというのは誰でもそうやってスタートするもの。今回4ラウンドだったのを今後6ラウンド、8ラウンドと増やしていって、いずれ世界戦に挑戦したい」と通訳を介して述べた。

「国を挙げて支援し、五輪での成功に導いてくれた中国に感謝したい。俺がどこに行ったとしても、中国人であることに変わりはない」 (c)AFP/Peter Stebbings