【3月29日 AFP】南アフリカの裁判所は28日、交際相手を故意に射殺した罪に問われている義足ランナー、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)被告(26)に課していた厳しい保釈条件の緩和に応じ、同被告の出国を許可した。

 ピストリウス被告は、自らに課された多数の保釈条件は不正かつ不当であるとし、緩和を訴えていた。

 同被告はバレンタインデーの先月14日に起きたリーバ・スティンカンプ(Reeva Steenkamp)さん(29)の射殺事件以降、競技に参加していないが、マネジャーのピート・バンジル(Peet Van Zyl)氏は今後の競技復帰について「本人次第」と述べている。「本人に走る意思があり、世界選手権で選手に求められる資格の基準を満たすことができるのならば、するべきだろう」(バンジル氏)。第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)は8月にロシアの首都モスクワ(Moscow)で開幕する。

 同被告のパスポート(旅券)は今後、被告の弁護士が保管する。出国する際は、少なくとも1週間前には検察に旅程を提出し、帰国から24時間以内に旅券を返却しなければならない。

 また出国許可に加え、事件現場となった首都プレトリア(Pretoria)にある被告の高級邸宅に戻ることが許された他、アルコールと薬物の強制抜き打ち検査も免除された。

 ピストリウス被告のバリー・ルー(Barry Roux)弁護士は、同被告が出国許可を求めたのは収入を得るためだと説明している。事件後、スポーツウエアメーカーのナイキ(Nike)やサングラスメーカーのオークリー(Oakley)をはじめ、複数の大手スポンサーが同被告との契約を打ち切っている。また、同被告がかつて練習を行っていたイタリア・ジェモナ(Gemona)の自治体も、5年間のスポンサー契約を凍結した。

 ピストリウス被告は6月4日に出廷する予定だが、検察側によるとその日に公判が始まるかどうかははっきりしていないという。(c)AFP/ Susan NJANJI-MATETAKUFA