【1月31日 AFP】ジンバブエ国庫金の残高は、現在たった217ドル(約1万9700円)――。ジンバブエのテンダイ・ビティ(Tendai Biti)財務相が29日、首都ハラレ(Harare)で記者団に国家の苦しい台所事情を明らかにした。前週、公務員給与を支払ったところ、国庫には217ドルしか残らなかったという。 「国家財政は目下まひ状態だ。目標は達成できていない」と説明したビティ財務相は、集まった記者たちに向かい、みなさんの中には政府より銀行の口座残高が多い人もいるだろうなどとコメントした。

 鉱山資源の豊かなジンバブエだが、国家経済はロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領が少数派の白人所有の大農場を接収し黒人農民に分配する土地改革を本格導入したことで、2000年を境に大きく混乱し始めた。投資家の信頼を失ったことで国内の生産活動はまひ。国際社会から経済制裁を受け、海外からの旅行者も激減した。

 その後の10年間で、ジンバブエは2億3100万%という世界最悪のハイパーインフレを経験。急激な物価上昇に伴い、インフラも崩壊した。米ドルと南アフリカ・ランドを併用する現在はかつてより安定した状態を取り戻したが、国家財政は依然として混乱しており、経済活動は不安定な電力供給、流動性不足、高い労働コストに阻まれ厳しい状況が続いている。

 ジンバブエ政府はかねてから、今年実施を予定している新憲法をめぐる国民投票や総選挙の資金が不足していると訴えていた。ビティ財務相によれば、「もはや各国政府に資金援助を要請するほかない」という。(c)AFP