【1月30日 AFP】(写真追加)内戦状態が続くシリアのアレッポ(Aleppo)で29日、市内を流れる川から若い男性78人の遺体が発見された。遺体は全て、1発の銃弾で処刑されていた。

 反体制派の戦闘員によると、クワイク川(Quweiq River)にはこれ以外にも30体の遺体があるが、政権側の狙撃兵がいるために収容することができないという。「政権側は、(遺体が)われわれの支配地域に流れ着くよう、川に投げ捨てた。われわれが殺したと人々に思わせるために」

 一方、ある治安当局者は「テロリスト」(シリア政府は反体制派をこう呼ぶ)の犯行だと述べ、犠牲者は反体制派が支配するブスタン・アルカスル(Bustan al-Qasr)地区で拉致された住民だとし、家族が解放の交渉を行ったが、夜のうちに殺害されたと語った。

 犯行声明は今のところ出されていないが、国営シリア・アラブ通信(SANA)は、これら処刑を行ったのはイスラム聖戦士集団「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」だと伝えている。

 アルヌスラ戦線は、シリアで行った一連の自爆攻撃でその悪名を最初に広めた後、国内各地の戦線で攻撃を指揮する強力な武装勢力へと成長した。その過激な戦術に加え、イラクを拠点とする国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系グループとの関連が疑われていることから、米政府はテロ組織に指定している。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)は今回見つかった遺体の数を65体としつつも、今後大幅に増える可能性があると警告している。同監視団によると、遺体は「20代で、頭部への1発の銃弾で処刑されていた。大半は両手を背中で縛られ、一般人の服装をしていた」。

 遺体を確認しに訪れた男性の1人は、「私の兄弟は数週間前、政権側が支配する地域を移動している途中で姿を消した。今どこにいるのかも、何が起きたのかも分からない」と語った。(c)AFP/Antonio Pampliega