【1月9日 AFP】風呂に入ったときに指がしわしわになるのは、水面下の物体をしっかりとつかみ取りやすくするための進化上の利点だったとする研究が9日、発表された。

 長らく、指がしわしわになる現象は指先の皮膚の外側部分が膨張するためだと考えられてきた。だが近年の研究では、浸水に対する神経系の反応であることが分かっていたが、その目的については謎のままだった。

 英ニューカッスル大学(Newcastle University)神経科学研究所の研究チームは、しわしわの持つ利便性について試験するため、指がしわしわになった状態のグループとそうでないグループに濡れた物体をつまんでもらう実験を行った。

 親指と人差し指だけを使い、容器内の濡れたガラス玉と魚釣り用の鉛を別の容器に移し替えるという実験が行われた。その結果、指をぬるま湯に30分間浸していたグループの方が、はるかに速く作業を行うことが出来た。

 研究主任のトム・スマルダース(Tom Smulders)氏は「しわしわの指は、濡れた環境下では物をつかみやすくなることが示された」と発表。また指がしわしわになることは、濡れた表面での機動力を高めるための進化的適応だった可能性があるとAFPの取材で語っている。

 一方で、しわしわの指が乾燥した物体をつかむ際にも悪い影響を与えることがなかったことから、新たな疑問が浮上した──何故われわれの指が永続的にしわしわの状態ではないのか。これについてスマルダース氏は、しわしわの指には指先の感度を鈍感にしてしまうなどの「代償」もあることを指摘している。(c)AFP