セクシーすぎる歯科助手の解雇は「差別ではない」、米裁判所
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【12月25日 AFP】「我慢できないほどの魅力」を持つために雇用主の結婚生活を脅かしたとして歯科助手を解雇された米アイオワ(Iowa)州在住の女性が、解雇は差別に当たるとして元雇用主の医師を訴えていた裁判で、同州最高裁は前週、原告の訴えを退ける判決を下した。
訴えを起こしたのは、歯科医ジェームズ・ナイト(James Knight)さんの診療所で10年間働いた後に解雇されたメリッサ・ネルソン(Melissa Nelson)さん。ネルソンさんには夫と子どもがおり、ナイトさんからは思わせぶりなアプローチはあったものの、2人は実際に関係を持ったことはなかった。
ネルソンさんは法廷でナイトさんについて、自身に品位をもって接してくれる父親のような存在として見ていたと語った。だが、ネルソンさんの勤務9年目ごろから、ナイトさんはしばしば、「体を強調する」服装は「気が散る」から白衣で隠してほしいなどと頼むようになったという。
裁判記録によると、ナイトさんはあるとき、「僕の股間がふくらんでいたとしたら、君の服が過激すぎるということだ」と言ったとされる。これに対しネルソンさんが、服がぴっちりしすぎているなどと言われるのは不当だとメールで抗議したところ、もしズボンまでもぴっちりしていたら「我慢できなくなってしまう」ので、そうでなくて良かったとの返信があったという。さらに、ナイトさんはネルソンさんの性生活の頻度が少ないことに触れ、「(高級スポーツカーの)ランボルギーニ(Lamborghini)を車庫に眠らせているようなものだ」とコメントしたとされている。
こうした2人のメールでのやりとりを、同じ診療所に勤めていたナイトさんの妻が伺い知るところとなり、最終的にネルソンさんは「結婚生活への大きな脅威となる」として解雇を告げられた。ナイトさんは解雇にあたって、たとえ性的な関係はなくともネルソンさんは家庭に「不利益」をもたらす存在で、互いの家族のためにも2人が同じ職場で働くことは避けるべきだと告げたという。ナイトさんはネルソンさんの夫に対しても、2人の関係になんら不適切な点はないが、「解雇しなければ不倫を試みてしまうかもしれない」と語っている。
アイオワ州最高裁は、ネルソンさんはナイトさんの行為をセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)とは見なしていないため、問題の争点は「従業員側に誘惑行為がなくても、雇用主にとって従業員が抗しがたく魅力的だというだけで正当な解雇理由となるか否か」にあるとした。男性判事のみで構成される同州最高裁は最終的に、ネルソンさんの解雇は「不公正」ではあるが「違法な差別」には当たらないとの判断を下した。
ナイトさんの代理人は、配偶者の嫉妬を招くような場合には従業員を解雇できることをはっきりと示した判例は存在すると指摘。米CNNテレビに対し、「この問題でナイトさん夫妻は非常に苦しんでいた。ナイトさんもネルソンさんを解雇したくはなかった」と語った。
一方のネルソンさんはCNNに対し、勤務中に性的に挑発するような衣服は着ておらず判決は公平ではないと不満を示している。(c)AFP