【12月13日 AFP】義足の陸上競技選手として初めて五輪出場を果たした南アフリカのオスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)が12日、カタールのドーハ(Doha)で行われたイベントでアラブ種の競走馬マセラティ(Maserati)と競走し、勝利した。

 先天性の障害のため、生後11か月で両足の膝から下を切断した26歳のピストリウスは、炭素繊維製の競技用義足を使用していることから「ブレードランナー」という異名で知られる。ロンドン五輪出場を果たしたあと、パラリンピックでは男子400メートルで連覇を飾った。

 ピストリウスは、アラブ地域での障害者アスリートの奨励と障害者への差別撲滅のため、アラブ馬との200メートル競走に挑んだ。ピストリウスが通常の陸上トラックで走る隣で、マセラティはダート上でレースに臨んだ。

 15メートルのハンデを得てスタートしたピストリウスはスタートに失敗したマセラティを先行、大幅な距離差をおいて勝利を挙げた。マセラティは陸上トラックとダートのトラックを分ける柵の方へ向かって進んでしまい、騎手の激しいむちも空しく、距離を詰めることはできなかった。

 ピストリウスはゴール後「どちらが勝ったかは重要ではありません。重要なのは、障害者が偉業をなすことは可能だということを人々に知らしめることです」とコメントし、「とても楽しかった。この競走でカタールに住む人々が障害者に対する認識を変えてくれることを願っています」とコメントした。

 陸上選手が馬と競走するのはこれが初めてではなく、過去には1936年ベルリン五輪に出場したジェシー・オーエンス(Jesse Owens)や、1992年バルセロナ五輪の男子陸上100メートル金メダリストのリンフォード・クリスティ(Linford Christie)らが馬と競走しているが、通常は馬が勝利するケースの方が多い。(c)AFP