40年にわたる少女暴行疑惑、前年死亡の英BBC人気司会者
このニュースをシェア
【10月15日 AFP】1960年代から80年代まで英BBCテレビで活躍した人気司会者の1人で前年に死去したジミー・サビル(Jimmy Savile)氏に、未成年少女らに対する性的暴行を繰り返していたとの疑いが浮上した。世界最大の放送局であるBBCについては、サビル氏の行為について知りつつも同氏を起用し続けた疑いがあり、サビル氏のイメージが壊滅的なものとなっただけでなく、BBC自体にも隠ぺいの疑惑がもたれている。
自分こそが世界初のディスクジョッキーだと主張していたサビル氏は、人気音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス(Top of the Pops)」などで司会を務めていた。また一線を退いた後は慈善活動に携わり、約4000万ポンド(約50億円)の募金を集めたとされる。
しかし公共放送のBBCと競合する民放テレビのITVは前週、10代の頃にサビル氏から性的暴行を受けたとする女性らの発言を伝えた。女性らの発言によると、サビル氏は職場や慈善活動の場で暴行を繰り返していたという。
番組放送後、他の女性らからも同じくサビル氏から暴行を受けたとの訴えが多く寄せられたため、警察当局は捜査を開始した。サビル氏について警察当局は、少女を狙う「性犯罪者」で、40年間にわたり暴行を繰り返していたとの認識を示している。
捜査当局は12日、サビル氏をめぐり340件の情報について調べていることを明らかにし、また14日には被害者の数が60人ほどに上るだろうと発表した。暴行が行われていた期間は1959年から2006年にも及んでいたされる。
集められた情報によると、暴行はBBCの社屋や、サビル氏がボランティア活動をしていた病院でも行われていた。同氏はパラリンピック発祥の地であるストークマンデビル(Stoke Mandeville)にある脊髄損傷治療のための医療施設に個人の部屋を所有していたとされ、また問題のある少女たちが通う学習施設にもひんぱんに訪れていたとされる。女性らは、サビル氏のような有名人に暴行されたと訴え出ても誰も信用してくれないだろうと思っていたという。
暴行疑惑が浮上したことを受け、サビル氏の遺族らは同氏の墓石撤去を要請した。撤去した墓石については、破壊した後に埋め立て地で廃棄処分したという。
サビル氏は1990年、エリザベス英女王(Queen Elizabeth II)とローマ法王ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)からナイトの爵位が授与されている。一部新聞などは現在、これを剥奪すべきと呼びかけている。(c)AFP