【7月13日 AFP】欧米の研究チームが英科学誌ネイチャー(Nature)に、アルツハイマー病を防ぐ働きがあると考えられる遺伝子変異を発見したと発表した。欧米では60歳以上の人の5%以上が認知症を患っているとされ、そのうち3分の2がアルツハイマー病によるものだという。

 研究チームが発見した遺伝子の変異は「A673T」と呼ばれ、アルツハイマー病に限らず高齢による認知機能低下も予防するという。

 今回の論文の主著者で、アイスランドのゲノムデータ企業「デコード(deCODE)」の最高経営責任者(CEO)、カリ・ステファンソン(Kari Stefansson)氏はAFPの取材で次のように語った。

「これは、アルツハイマーに関連するタンパク質を作ると長年考えられてきた遺伝子内の変異で、生成されるタンパク質の有害性は少ない。この珍しい変異を持つ人は、アルツハイマー病を発症する可能性が通常の5~7分の1となっている」

 また同研究チームはアイスランド人約1800人の遺伝子データの調査から、アルツハイマー病を患っていない80~100歳の人でこの変異を持っている人は、持っていない人に比べて認知機能がかなり高いことも突き止めた。

 ステファンソン氏によれば、記憶障害と認知症を主症状とする進行性かつ不治のアルツハイマー病の特徴のひとつは、脳内に老人斑(アミロイド斑)と呼ばれるタンパクが沈着することで、治療法の研究では過去20年間、アミロイド前駆体タンパク(APP)を操作する研究が多数試みられてきた。論文要旨では「発見された変異はおそらくアルツハイマー病の予防治療におけるターゲットを示すものだ」と述べられている。(c)AFP