【5月10日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は9日、米ABCテレビ(ABC News)とのインタビューで、米大統領として史上初めて同性婚を支持する姿勢を公に表明した。

 以前オバマ大統領は、米政界を深く分断している同性婚の是非について、自身の立場は「変化している」と述べていた。だが今回のインタビューではその立場を変え、同性婚支持者らが米市民権運動における歴史的瞬間と称賛するとみられるこの発言を行った。

「私は最近結論に達した。私個人にとって、『同性カップルも結婚できるべき』との意見を踏み込んで主張することは重要なことだ」

 だがオバマ大統領は、同性婚を合法化するか否かについては各州の判断に委ねるべきだとも述べた。また、クリスチャンとしていかに同性婚支持の立場との折り合いをつけるかについて、ミシェル・オバマ(Michelle Obama)夫人と話し合ったことも明かした。

「私たちは2人ともクリスチャンであり、この(同性婚支持の)立場は一部の人たちの見解と相いれないと見なされることもあるだろう。だがこれは同時に、『自分がしてもらいたいと思うような扱いを他人に対してもする』という黄金律に沿ったものだ」

 以前から同性カップルを強く擁護してきたオバマ大統領は、完全な形での同性婚については支持を表明していなかったが、同性カップルを親に持つ友達がいるという娘のマリア(Malia Obama)さんとサーシャ(Sasha Obama)さんとの話し合いを機に立場が変化し始めたことを明らかにした。

「娘たちにとって、友達の両親が違う扱いを受けているという事実は理解できないものだ。娘たちは納得ができない。実は、このことで考えが変わり始めた」

 インタビューに先立つ6日、ジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領が米NBCテレビの報道番組「Meet the Press」の中で、同性婚には「全く違和感がない」と発言したことを受け、オバマ大統領は同性婚に対する立場を問う強い政治的圧力を受けていた。

 オバマ大統領は11月の大統領選を前に熱を帯びる米政界の論戦で、いちかばちかの賭けに出た形になった。一部の専門家は、この発言でオバマ大統領は政治的地雷原に足を踏み入れてしまったかもしれないと警告している。オバマ大統領が支持獲得を狙うスイング・ステイツ(swing states、有権者の支持が共和党と民主党の間で揺れる州)の重要な有権者層の中には、同性婚反対派が多数を占めるものもあるからだ。(c)AFP/Stephen Collinson

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