【2月2日 AFP】紀元前1630年ごろに起きた「超火山」の噴火は、エーゲ海に浮かぶサントリーニ(Santorini)島を吹き飛ばして群島を作り出し、アトランティス大陸伝説をも生み出した。それから約3500年を経たいま、この超火山噴火がカルデラ噴火を予知する手掛かりとなる可能性があるとした論文が、1日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 この大噴火はカルデラ噴火に分類される。幸いなことに、カルデラ噴火発生の頻度は数万年に1回あるかないかだ。カルデラ噴火とは、ガスや溶岩の噴出孔がないために地下にマグマが大量に蓄積されていき、しまいにはマグマが噴出する大爆発が起き山頂部が吹き飛ばされるもので、この時にできる陥没をカルデラと呼ぶ。カルデラはスペイン語で大釜を意味する。

 カルデラ噴火で最大の謎は、噴火の時期をどのように予測できるのかという点だ。この問題は、超巨大火山上にある米国のイエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)にとっては重大な懸念材料だ。米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)は、イエローストーンの火山を「(噴火の)危険度が高い」と分類しているのだ。


■噴火予知の鍵は火山の「脈動」

 フランスの火山学者ティモシー・ドゥルイット(Timothy Druitt)氏率いる研究チームはこのほど、サントリーニの噴火で吐き出された鉱物の一種、長石の結晶を分析した。その結果、数千年に及ぶマグマのゆっくりとした進行の中で沈着したマグネシウム、ストロンチウム、チタニウムの痕跡を調べたところ、噴火に至るまでの状況が明らかになった。

 噴火を決定づける脈動的なマグマの貫入は、大噴火の数十年前から数か月前の間に起こっていた。この結果は、カルデラ火山でマグマが「脈動的」に蓄積され、噴火前には脈動が加速するとしたほかの研究結果とも一致している。

 そうであれば、今回の結果はイエローストーンなどホットスポットを持つ火山の噴火予知に携わる火山学者にとって有益なものとなる。火山隆起に伴う地盤変動を記録する衛星技術や地動センサーを用いた長期観測で、このような脈動を検出できるかもしれない。

 脈動が噴火予知の好材料になるとはいえ、カルデラ噴火を早い段階で予知するためには、長期にわたる脈動モデルの構築と極めて高い専門知識が必要だという。(c)AFP