【1月24日 AFP】南アフリカで、カナダと南アの考古学チームがジュラ紀前期(2億~1億7500万年前)の草食恐竜「マッソスポンディルス(Massospondylus)」の巣から小さな足跡や胚の化石など発見し、その詳細を23日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表した。

 巣や化石が見つかったのは、南アフリカのゴールデンゲートハイランズ国立公園(Golden Gate Highlands National Park)の発掘現場。さまざまな状態の巣10か所から、多いところで卵34個が発見された。マッソスポンディルスは体長4~6メートルの中型恐竜だが、卵は直径6センチと小さい。

 見つかった巣や化石類は約1億9000万年前のもので、恐竜の生態を示す化石類としては、これまでに発見された世界最古のものだという。

 今回の発見から、マッソスポンディルスはふ化した子どもが倍の大きさに成長するまで巣の中で育てていたことや、マッソスポンディルスが子ども時代には4本の足で歩き、成長すると2本の後ろ足で立つようになったとみられることが分かった。

 発掘を主導したカナダ・トロント大学ミシサガ校(University of Toronto at Mississauga)のロバート・ライス(Robert Reisz)教授によると巣や卵は、ほぼ垂直な道路の断面わずか25メートルにわたる岩盤から見つかったという。

 発見された巣の状況から、考古学チームは、マッソスポンディルスの母親は、何度も集団で巣に戻り慎重に卵を管理していたとみている。

 カナダ・ロイヤルオンタリオ博物館(Royal Ontario Museum)で古脊椎動物を担当するデービッド・エバンズ(David Evan)氏は、進化過程初期における恐竜の繁殖について、初めてその詳細に切り込んだものだと、発見を評価した。(c)AFP