【1月12日 AFP】9日に行われた2011年の国際サッカー連盟(FIFA)表彰で日本勢が3部門を受賞した快挙は、歴史的に前例がないW杯から五輪の連続制覇への士気を高めると同時に、震災後の日本とアジア全体に勇気を与えた。

 2011年のFIFA表彰で世界年間最優秀女子選手「女子FIFAバロンドール(FIFA Ballon d'Or)」に選出された澤穂希(Homare Sawa)と、女子チームのFIFA世界年間最優秀監督(FIFA Women's Coach of the Year)に選出された佐々木則夫(Norio Sasaki)監督が11日、スイスのチューリヒ(Zurich)から帰国し、都内で記者会見を行った。

■W杯優勝からとロンドン五輪の目指す日本女子代表

 2011年7月に行われた女子サッカーW杯ドイツ大会(FIFA Women's World Cup 2011)決勝で同点ゴールを決める活躍を見せ、日本女子代表のW杯制覇に貢献した澤は「自分の名前が呼ばれた瞬間、頭が真っ白になりましたが、少しづつ実感が湧いてきました。この賞に恥じないように、精進したいと思います」と話した。

 また、澤は「今年の幕開けは素晴らしいものになりました。今の目標は、チームとしてロンドン五輪の表彰台の頂点に立てるよう頑張ります。日本人でも不可能ではないと証明できたので、多くの子どもたちに目標や夢を与えることができたと感じています」とコメントした。

 同じく会見に臨んだ佐々木監督は、ドイツとの3位決定戦に敗れて惜しくもメダル獲得を逃した北京五輪でもチームを率いており、「2008年から作り上げてきたチームを、澤を中心に完成させたい」と話し、ロンドン五輪への意気込みを語った。

 これまでW杯優勝後の五輪で2大会連続制覇を達成したチームの前例はない。過去に米国が1996年のアトランタ五輪を制し、1999年の女子W杯で優勝しているが、2000年のシドニー五輪では決勝でノルウェーに敗れている。

 また、スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)の攻撃的なサッカーを参考にしている佐々木監督は、FIFA世界年間最優秀監督に選出されたジョゼップ・グアルディオラ(Josep Guardiola)監督が日本女子代表を「FCバルセロナよりも優れたチーム」と評価されたことを明かし、「FCバルセロナをお手本にしていることを伝え、意見交換もできた」と語った。

■FIFA表彰のトロフィーは被災地でお披露目へ

 アジア勢が個人部門で受賞するのは史上初の快挙となったFIFA表彰では、東日本大震災の復興支援を積極的に行ってきたとして、日本サッカー協会(Japan Football AssociationJFA)がフェアプレー賞(FIFA Fair Play Award)を受賞した。

 授賞式で多くのアジア関係者が「アジアの誇りだ」と祝福してくれたことを明かしたJFAの小倉純二(Junji Ogura)会長は、「アジアが南米や欧州と肩を並べられるレベルまできたことを証明できました。トロフィーは被災地で披露し、復興を目指す人々に勇気を与えたい」と語った。

 各スポーツ紙は、着物姿の澤と3年連続でFIFAバロンドールを受賞したリオネル・メッシ(Lionel Messi)が並んだ表彰式の写真を掲載し、中日スポーツ紙(Tokyo Chunichi Sports daily)が『澤、世界一の「ホマレ」』と見出しを打った。(c)AFP/Shigemi Sato

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