【1月11日 AFP】禁煙を容易に行うためのニコチン置換療法で使用するニコチンガムやニコチンパッチ、ニコチンスプレーは、長期的に見て、独自に禁煙を試みる場合と同程度の効果しかないとする論文が、9日の英専門誌「Tobacco Control」に掲載された。

 米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)の研究チームは、最近タバコをやめたマサチューセッツ(Massachusetts)州の成人787人を対象に、2001~02年、03~04年、05~06年の3回にわたって禁煙状況を追跡調査した。

 その結果、禁煙失敗率は、ニコチン置換療法(NRT)を受けた人では全体の約3分の1で、NRTを受けなかった場合とほぼ同じであることが分かった。

 また、ヘビースモーカーでは、専門医の補助なしにNRTを受けた場合の禁煙失敗率が、NRTを受けなかった場合の2倍であることも明らかになった。この理由について論文は、「ヘビースモーカーはNRTを魔法の薬のようなものだと考えがちだ。そうではなかったと気付いた時には、禁煙をサポートしてくれるものが周りにおらず、結局失敗に終わってしまう」と説明する。

 研究では、8週間というNRTの推奨期間を守っている人がごく少数であることも分かった。大多数の人は、8週間未満でNRTを終えていた。

 これまでの無作為化比較研究では、NRTは禁煙補助に効果的という結果が示されてきた。研究チームは今回の結果について、これまでの比較研究が、一般の人が実生活を送るという設定においては不十分であることを示していると主張している。(c)AFP/Kerry Sheridan