■ハチなのに明かりのまわりに…

 さらに研究を進めた結果、夜間に巣から離れていたミツバチほどこのハエに寄生されやすいことが分かった。寄生されたハチは自分のコロニーを捨て、明かりの近くに集まった。ハチとしては非常に異常な行動だ。方向感覚を失い、連なって円を描くように歩き続ける集団も観察された。 「Apocephalus borealis」という種類だと同定されたこのハエは、ミツバチの腹部に卵を産み付ける。ミツバチが死んでから約1週間後、通常はミツバチの頭と胴体の間から、ハエの幼虫が出てくる。

 研究チームはさらに、寄生される場所や、「ゾンビ化」したミツバチが自分から巣を離れるのか、それとも異常を感知した他のハチたちによって追い出されるのかなどを突き止めたいとしている。

 2006年以降、米国、欧州、日本など世界各地でミツバチが大量死する現象がみられている。専門家の間では原因はひとつではないと考えられており、寄生虫やウイルス、バクテリアの感染、殺虫剤、人間が環境を破壊したことによる栄養不足などが挙げられている。ミツバチの減少は、ミツバチによる受粉を頼りにしている農作物の生産に数百億ドル規模の損害を与えている。(c)AFP