【12月6日 AFP】南アフリカ・ダーバン(Durban)で開催中の国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第17回締約国会議(COP17)で4日、ヒマラヤ山脈の氷河がわずか30年のうちに最大で5分の1縮小したとする研究が発表され、ヒマラヤ地域における気候変動の影響が初めて公式に確認された。

 3本の報告書を発表したのは、ネパール・カトマンズ(Kathmandu)に本部がある国際総合山岳開発センター(International Centre for Integrated Mountain DevelopmentICIMOD)。報告書はヒマラヤの氷河融解の程度について、これまでで最も包括的な評価を行っている。これによると氷河はこの30年間でネパールで21%、ブータンで22%縮小していた。

 2007年には「ヒマラヤの氷河は2035年までに消滅する」と科学者たちが宣言していたが、その見解は現在では疑問視されている。

■氷河消えれば海面上昇や水不足に

 スウェーデンの出資援助を得て行われたICIMOD主導の調査では、対象となったヒマラヤ地域の10か所の氷河すべてが縮小していることが明らかになった。特に2002~05年の間に、氷河は最も速いスピードで縮小していた。また別の研究では、ヒマラヤ地域における積雪が、過去10年間で大幅に減少していることが明らかになった。

 環境活動家たちは、ヒマラヤ山脈を(南極、北極に次ぐ)「第3の極」と呼び、ヒマラヤ山脈の氷河融解は北極と南極に次いで、海面上昇に影響を及ぼす最大規模の要因になると主張している。

 科学者たちは、ヒマラヤ山脈の氷河融解により巨大な湖が生まれており、決壊すれば下流域の山間部にある居住地域を破壊する危険性があると指摘。また、ヒマラヤ山脈の氷河は数十年以内に消滅し、アジアの広い地域に水不足をもたらすことになるだろうと警告した。(c)AFP