【11月12日 AFP】英国とアルゼンチンの間で勃発したフォークランド紛争から30年目となる来年、英国のウィリアム王子(Prince William、29)が軍務でフォークランド諸島(Falkland Islands、アルゼンチン名マルビナス諸島 Islas Malvinas)へ派遣されることになった。王子が所属する英空軍(Royal Air ForceRAF)が10日、発表した。

 英国の王位継承順位2位、英空軍捜索救難ヘリのパイロットでもあるウィリアム王子は、2012年の2月から3月にかけての6週間、南太平洋上のフォークランド諸島に派遣される。王子と同程度のキャリアのパイロットとして通常の任務だという。

 空軍の規定により妻のキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)は同行せず、派遣期間中にウィリアム王子がケンブリッジ公(Duke of Cambridge)としての公務を行うこともない。

■資源めぐる外交問題の舞台

 フォークランド諸島は1833年から英国の支配下にあるが、アルゼンチン政府は英国に占領された自国領と捉えている。

 1982年4月2日、当時軍事政権だったアルゼンチン側がフォークランド諸島に上陸。英軍との武力衝突の末、アルゼンチン軍は6月14日に降伏した。この紛争でアルゼンチン軍に649人、英国軍に255人の死者が出た。

 ウィリアム王子の叔父にあたるアンドルー王子(Prince Andrew)もヘリコプター、シーキング(Sea King)の副操縦士として従軍した。ウィリアム王子は、アルゼンチンの降伏からちょうど1週間後に誕生している。

 フォークランド諸島の人口は2500人だが、英軍は現在も治安維持のために1000人規模の要員を駐屯させている。2010年にフォークランド諸島沖で石油と天然ガスの開発が始まったことから、再び両国の間で外交問題になっている。(c)AFP/Danny Kemp

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