【10月18日 AFP】英下院は17日、1989年にシェフィールド(Sheffield)のヒルズボロ・スタジアム(Hillsborough stadium)で起き、96人の死者を出した同国スポーツ史上最悪の事故「ヒルズボロの悲劇(Hillsborough Disaster)」に関する全記録文書の公開を要求する動議を、議論の末、無投票で承認した。文書の公開を求めるインターネット上の嘆願書には、10万人以上の署名が集まっていた。

「ヒルズボロの悲劇」は1989年、FAカップ(FA Cup)準決勝、リバプール(Liverpool FC)対ノッティンガム・フォレスト(Nottingham Forest)戦が行われた同スタジアムが超満員に膨れ上がったことで引き起こされた。

 テリーザ・メイ(Theresa May)内相は議場で、「遺族や国民が確実に真実を知ることができるよう、私が持つ権限の中で全力を尽くす」と語った。

 首相官邸は8月、事故に関連した全ての文書の全面開示に同意。デービッド・キャメロン(David Cameron)首相は9月16日、2009年に初めて文書の公開を求めた労働党(Labour Party)のアンディ・ バーナム(Andy Burnham)議員に対し、「ヒルズボロに関して政府が握っている全ての情報の全面開示を誓う」と記した書簡を送付した。

 キャメロン首相の報道官は17日、リバプール教区のジェームズ・ジョーンズ(James Jones)主教が委員長を務め、7人で構成されるヒルズボロ独立委員会(Hillsborough Independent Panel)に、全ての関連書類が引き渡されたと確認した。同委員会が事故に関連した膨大な量の未公開文書に目を通し、遺族や一般に情報を公開するか否かを決定する。

 文書の中には、当時のマーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)首相がダグラス・ハード(Douglas Hurd)元内相と交わした書簡や、サッチャー元首相が出席した会議で提示された資料などが含まれているとされる。(c)AFP

【関連記事】「ヒルズボロの悲劇」追悼式典が開催される