【9月12日 AFP】生息地の南極から3000キロ離れたニュージーランドの首都ウェリントン(Wellington)に近い浜辺で発見され、世界で最も有名なコウテイペンギンとなった「ハッピーフィート(Happy Feet)」が、南極への帰路の途中、行方不明になった。ハッピーフィートの動向を追跡していた科学者チームが12日、語った。

 ハッピーフィートは4日、南極海の冷たい海に放された。

 チームによると、ハッピーフィートに設置された衛星追跡装置からの信号が、9日から届かなくなった。捕食動物に食べられたか、あるいは泳いでいる最中に装置がはずれて落ちてか、故障した可能性が考えられる。

 6月末に死にかけているところを発見されたハッピーフィートに、2か月にわたるリハビリを行ったウェリントンのテパパ・トンガレワ(Te Papa Tongarewa)国立博物館の動物専門家、コリン・ミスケリー(Colin Miskelly)氏は、ハッピーフィートの捜索を続けると語った。

「通信装置が停止した理由を突き止めることはおそらくないだろう。だが、かつて無名だったあのペンギンが、また匿名の1匹のペンギンに戻ったのだという現実を理解すべきときだ」

 3歳半のオスのペンギン、ハッピーフィートは、ニュージーランド南島(South Island)から700キロ南のキャンベル島(Campbell Island)の沖合で、調査船タンガロア(Tangaroa)から海に帰された。

 ハッピーフィートの故郷、南極はそこから2000キロ離れている。ほかのコウテイペンギンたちと合流して長旅の末に南極に帰還できればと望みがかけらていた。

 ミスケリー氏はブログで、ハッピーフィートのハッピーエンドをまだあきらめていないと語った。

「もしかしたら、もしかしたら、監視中のコウテイペンギンの群れに彼が現れて、わたしたちを驚かせるかもしれない。彼の大たい部の皮膚の下に取り付けられたトランスポンダー装置が、彼がかつて、ただのペンギンではなかったことをわたしたちに思い出させてくれるかもしれない」と、ミスケリー氏は語った。(c)AFP


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【参考】ハッピーフィートの移動追跡サイト(英語)