【9月2日 AFP】チベット高原(Tibetan Plateau)で発見された360万年前の毛サイの化石は、一部の大型草食動物が氷河時代以前に高地で進化した可能性を示唆しているとする論文が、2日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載される。

 米ロサンゼルス郡自然史博物館(Natural History Museum of Los Angeles County)と2007年に毛サイの完全な頭骨と下あごを発見した中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の研究チームの論文によると、毛サイは、平地の気候が温暖だった時代、チベットの寒冷かつ雪深い高地で進化した。雪を掘って植物を探し出すのに便利な平べったい角など、独特の適応を果たし、260万年前に氷河時代に入るとアジア北部や欧州へ生息域を広げることができた。毛サイは氷河時代より前に地球寒冷化に適応していたことになる。

 論文によると、マンモスや毛サイ、巨大ナマケモノ、サーベルタイガーなど、氷河時代に生息していた大型草食動物の絶滅については広く議論されてきたが、これらの動物がどこから来たのかはほとんど分かっていなかった。

 研究チームは、ウシ科のチベットバーラル(別名ブルーシープ)の絶滅種のほか、ほ乳類約25種の化石も発掘した。「チベット高原は氷河時代、大型草食動物のゆりかごでもあったかもしれない」と論文は述べている。(c)AFP