【7月29日 AFP】ニューヨーク(New York)のホテルで性的暴行を受けたとして国際通貨基金(IMF)の前専務理事、ドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)被告を訴えたギニア出身の女性ホテル従業員が28日、会見を開き、苦悩の日々について語った。

 会見場となったニューヨーク市内の教会には、大勢の記者が詰め掛けた。弁護士に付き添われて現れたナフィサトウ・ディアロ(Nafissatou Diallo)さん(32)は、「わたしと(15歳の)娘は毎日泣いています。眠れないのです。この事件は、わたしにも娘にも耐えられないことなのです」と、涙ながらに訴えた。

 マンハッタン地区検察は当初、ストロスカーン被告の起訴に積極的だったが、その後、ディアロさんの証言の信ぴょう性が疑われると表明。起訴取り下げの可能性について憶測が飛び交うまでになった。被告本人もすべての罪状で無罪を主張。被告の弁護人は、ディアロさんは金銭的な利益を求めているだけだと主張した。

■電話の会話の内容は誤訳だった

 そんな中、ディアロさんは24日、5月14日の事件後初めてメディアの前に姿を現し、一部始終を語った。今回の会見も、メディアを通じて攻勢を強める本人の意志を示している。

 同席した弁護士のケネス・トンプソン(Kenneth Thompson)氏は、「検察はストロスカーン被告を起訴する義務があるが、起訴が取り下げられた場合でも民事訴訟を起こして損害賠償を求める」と述べた。

 検察が証言の信ぴょう性を疑う根拠としている録音された電話での会話についても、誤訳であったことが判明したと説明した。ディアロさんは、ギニア人のボーイフレンドに対し、裕福なストロスカーン被告から大金を手に入れるつもりと言ったとされる。

 トンプソン氏によると、27日に検察官と面会した際、検察側のフラニ語の通訳が、この内容が誤訳であると断言したという。

■乳房をつかまれて・・・

 ストロスカーン被告の次回審理は検察側の要請で数回延期され、8月23日に予定されている。

 ディアロさんは25日に放映された米ABCテレビの番組で、ソフィテル(Sofitel)の28階のスイートルームで起こった出来事を、なまりは強いがほぼ流暢な英語で話した。それによると、ストロスカーン被告が全裸でシャワー室から現れ、ディアロさんの乳房をつかんだ。懇願したが聞き入れられず、頭を被告の下半身まで押し下げられたという。(c)AFP/Sebastian Smith