【6月27日 AFP】生息地の南極から3000キロ離れたニュージーランドの首都ウェリントン(Wellington)に近い浜辺で発見されたが、その後体調を崩していたコウテイペンギンの「ハッピーフィート(Happy Feet)」を救うため、同国トップクラスの医師が招集され、27日にウェリントン動物園(Wellington Zoo)で手術を行った。

 手術を行ったのは、普段は人間を治療しているジョン・ワイエス(John Wyeth)医師。ニュージーランド消化器病学会(New Zealand Society of Gastroenterology)元会長で、ウェリントン病院(Wellington Hospital)消化器科の責任者だ。

 ワイエス医師はハッピーフィートののどから入れた内視鏡で、消化器に入っていた小枝や石、砂などを取り除いた。医療スタッフ6人がワイエス医師を支援した。手術は2時間に及んだ。

 ワイエス医師は「記憶に残る経験だったよ」と語った。「(ペンギンの)体の構造に詳しくなかったものだからね。同じ治療を人間に行うのであれば10分で終わるよ」

■ハッピーフィートはいつ南極に帰れるのか?

 ニュージーランドでコウテイペンギンが確認されたのは史上2羽目。「ハッピーフィート」というのは、発見場所の地元住民たちがつけたニックネームだ。若いオスとみられている。南極のコウテイペンギンは暑いときに雪を食べるが、ハッピーフィートは暑さに耐えかねて浜辺の砂を食べて体調を崩し、24日にウェリントン動物園に搬送されていた。

 同動物園の獣医長、リサ・アルジラ(Lisa Argilla)氏によると、ハッピーフィートは術後の経過は良好だが「予断を許さない状況」だという。

 コウテイペンギンは本来、氷点下の天候で暮らしているため、アルジラ氏たちは砕いた氷を敷き詰めた、空調の効いた屋内でハッピーフィートを保護している。最も良い選択肢は、ハッピーフィートが健康を回復したら亜南極の海域に返し、自力で泳いで南極に帰ることを祈ることだとアルジラ氏は語る。
 
 しかし、ハッピーフィートは南極からニュージーランドまでという長距離を泳いだことや、消化器に傷を負ったために体重が減っており、野生に戻す準備がまだできていない。「いつまでかかるかというのを述べるのは難しいが、おそらく1~2か月程度だろう」と、アルジラ氏は記者団に語った。(c)AFP/Neil Sands

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