【6月22日 AFP】オランダの巨匠画家ビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)の自画像として長らく知られてきた1枚の肖像画が、実は弟テオ(Theo)の肖像だったことを「発見した」と、アムステルダム(Amsterdam)にあるファン・ゴッホ美術館(Van Gogh Museum)が21日発表した。

 ゴッホは数多くの自画像を残しているが、「自画像ではなく弟のテオの肖像画」と判定されたのは、青い背景に濃紺のジャケットを着て、黄色の帽子をかぶった姿の1枚(写真)。

 同美術館によるとゴッホは、彼の生活を経済的に援助していた5歳年下の弟、テオの肖像を描いたことはないとされてきた。しかし、上級学芸員のルイ・ファン・ティルボルフ(Louis van Tilborgh)氏は現在、1887年に描かれたこの1枚はテオの肖像だと確信している。

 この兄弟には身体的に明らかに違う特徴がいくつもあり、これらを比べた結果、これはテオの肖像だという結論に至った。

 例えば、他の自画像のひげはもっと赤みがかっているのに対し、この絵の男性のひげはオークル系で、耳も他の自画像よりも丸く、目の色も異なる。こうした身体的特徴や服の着方などが、現存しているテオの写真と一致するという。

 新発見については、ティルボルフ氏ら4人の学芸員が編纂した600ページの美術館のカタログで発表されている。同美術館は世界で最も多くのゴッホ作品や、ゴッホの書簡を所蔵している。

 ゴッホは1890年7月、フランスのオーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)の小麦畑で自分を銃で撃ち亡くなったが、弟テオもその半年後に亡くなった。(c)AFP