【6月22日 AFP】世界101都市、189世帯の食器洗浄機を調べたところ、高温のお湯や大量の洗剤、塩水、アルカリ性や酸性の水を浴びても死なないカビが生息していたという研究結果が、英国菌学会(British Mycological Society)の学会誌「ファンガル・バイオロジー(Fungal Biology)」最新号に発表された。未知の病原性を持っている恐れもあるという。

 食器洗浄機から採取されたサンプルから確認されたのは、黒色真菌のエクソフィアラ・デルマティティディス(Exophiala dermatitidis)と、同じ属のエクソフィアラ・フェオムリフォルミス(E. phaeomuriformis)。「全身性疾患を引き起こすことがあることで知られ、特に嚢胞性線維症の患者の肺にコロニー形成しやすい」という。

 対象となった食器洗浄機の56%で、ドアのゴム部分にこれらのカビが見つかった。どちらのカビも自然の中ではあまり見かけない好極限性微生物だが、繁殖に好都合な温度と湿気がある食器洗浄機の隙間を新たな住みかとして見つけたらしい。

 今回の研究は、食器洗浄機に生えたこれらのカビが健康を脅かすかどうかについては検討していない。しかし、この「過酷な環境」に耐えていることから、遺伝子的な変異が起こっている可能性について「さらなる研究が不可欠」としている。

 特に「同じ属で遺伝子型が異なるカビが2種類、一緒に存在していたことから遺伝子組み換えが起きる可能性もあり、未知の病原性を持つ新たな遺伝子型になっている恐れもある」という。

 このほか、食器洗浄機から採取したサンプルからは、アスペルギルス(Aspergillus)属、カンジダ(Candida)属、フザリウム(Fusarium)属、ペニシリウム(Penicillium)属などの菌が見つかった。(c)AFP