【5月12日 AFP】五輪の競泳で5個の金メダルを獲得したオーストラリアのイアン・ソープ(Ian Thorpe)氏は11日、2012年ロンドン五輪で米国のマイケル・フェルプス(Michael Phelps)を脅かす存在になるのではないかという憶測について、現在の状態は「過去の自分には程遠い状態」だと語った。

 2000年シドニー五輪と2004年アテネ五輪で合計9個のメダルを獲得し、五輪史上最も成功を収めた選手の一人とされるソープ氏は、24歳だった2006年に競技意欲の欠如を理由として引退した。

 オーストラリア人選手としては五輪最多のメダル獲得数を誇るソープ氏は、2011年2月に現役復帰を発表したものの、この数か月は厳しいものだったと明かした。

 英ロンドン(London)のハックニー(Hackney)にある子供向けの無料複合スポーツ施設を訪れたソープ氏は「今のところ、過去の自分には程遠い状態だ。現役復帰を決めたときに予想した通りに順調に進んでいるけれど、ロンドン(五輪)は間近に迫ってきていて、今は本当に苦しんでいる。練習は楽じゃない。もしそうだったらみんなやっているさ。全体としては楽しんでいるけれど、苦しむ日もある。特に、自分の思うようにうまく泳げずに気が滅入ったりすると、練習をこなすのが本当に辛い。自分が本当にやりたいようにできなくて、自分がどうやってそれをやっていたか思い出すのが一番もどかしい」と語った。

 現役復帰を表明した際に「ソーピード(Thorpedo、ソープ氏のニックネーム)」はリレーのみの出場を目指すとしていたが、その後は個人種目への復帰も示唆した。そうなればフェルプスと対決する可能性も出てくる。

 フェルプスはアテネ五輪で8個のメダル(金6、銅2)を獲得、2008年北京五輪では8個の金メダルを獲得して1972年ミュンヘン五輪でマーク・スピッツ(Mark Spitz、米国)氏が記録した五輪1大会での最多金メダル獲得数を更新している。

 アテネ五輪200メートル自由形での「世紀の対決」でフェルプスを下したソープ氏は、なぜ再戦を望む声が聞かれるのかを理解している。

 「対決するかも知れない。五輪の神様が思い付いて、ロンドンで僕らが同じレースに出場するかもしれない。メディアが食いつくことは分かっているよ。互いににらみ合っている写真で、僕らがライバルであるかのように仕立てたりするだろうけれど、僕らは友達だからね、マイケルと僕はそれを笑ったりするだろう。特別に彼や他の選手を倒そうとは考えていない。復帰して、シドニーでしたように3個の金メダルを取れれば最高だろうけど」

 ソープ氏は、11月に開催される競泳ワールドカップ(FINA/ARENA Swimming World Cup 2011)第4戦シンガポール大会で国際レベルのレースに復帰する見込みとなっている。(c)AFP

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