【5月10日 AFP】米ボストン(Boston)の病院で3月に同国初の全顔面移植術を受けた男性が9日、新しい顔で会見に臨んだ。

 テキサス(Texas)州在住のダラス・ウィーンズ(Dallas Wiens)さん(26)は、2008年11月、移動クレーンで作業中に頭が高圧線に触れ、やけどで顔面と左目を失った。残った右目も、光を感じることができないままだ。

 ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)で黒いサングラスをかけて会見に臨んだウィーンズさんは、医師とドナーへの感謝の気持ちを述べた。

 会見に同席した医師によると、ウィーンズさんはドナーの顔には似ていないという。移植された顔面は、患者の顔面骨や筋肉に合わせて形を変えるのだという。

「この顔に違和感はありません。自分の顔になったと思います」と語るウィーンズさん。顔の片側はまだ腫れており、発話も困難だ。顔面には無感覚の個所もあり、神経機能を取り戻すためリハビリを続けるという。

 だが、嗅覚(きゅうかく)は戻ってきたとうれしそうに語った。「最初にかいだにおいは、病院食のラザニアでした。本当においしそうだった!」「鼻で呼吸できるようになったことが最大の贈り物です」

 ウィーンズさんは現在、大学教育を受けることを考えている。娘と普段通りの生活を送りたいとも話した。娘は新しい顔を気に入ってくれたようで、「ダディー、すごくハンサムよ」と言ってくれたという。(c)AFP/Adam Hunger

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【動画】
◆手術に備えるウィーンズさん(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)