【2月25日 AFP】イラク各地で25日、この日を「怒りの日」としてインターネットで呼びかけられていたデモが行われ、一部で死傷者が出た。

 首都バグダッド(Baghdad)にある、エジプトの反政府デモの中心地となった広場と同じ名前のタハリール広場(Tahrir Square)には約5000人が集まり、石や靴、ペットボトルを警官隊に投げるなどした。

 北部のニナワ(Nineveh)州では州都モスル(Mosul)やハウィジャ(Hawija)でデモ隊と警官隊が衝突し、7人が死亡、数十人が負傷した。この他にイラクの北部と西部で合わせて8人が負傷した。南東部バスラ(Basra)州の州都バスラでは3000人が集まり、州知事が辞任した。デモは南東部のナシリア(Nasiriyah)、中部のカルバラ(Karbala)と東部のクート(Kut)でも行われた。

 イラク政府高官が匿名を条件にAFPに明らかにしたところによると、バスラ州知事は最近相次いだデモの責任を問われてヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相に解任されたというのが真相だという。マリキ首相はニナワ州知事にも辞任を求めているという。

■経済的な要求が目立つ

 バグダッドのデモに参加した学生(24)は、「選挙で選ばれた今の政府を倒したいわけではありません。政府には雇用を作って欲しいんです!それから道路を直して欲しい!電気と水道も直して欲しい!」と話してくれた。

 デモには劣悪な公共サービスの改善から政治改革の推進まで、さまざまな要求を掲げる多数のグループが参加した。イラクの電力や水道事情は劣悪で、汚職もまん延している。2003年の米軍などの侵攻から8年近く経った今でも失業率は高い。

 中東や北アフリカで相次いでいるデモと同様、25日のデモもフェイスブック(Facebook)の「Iraqi Revolution of Rage(怒りのイラク革命)」「チェンジ、自由、真の民主主義(Change, Liberty and a Real Democracy)」と題されたページなどを通じて呼びかけられた。

 イラク政府はデモを阻止するため、議員の報酬削減や、困窮世帯への食料援助予算の増額、輸入品の値上がりにつながる輸入関税増税の延期などの施策を導入している。マリキ首相は、25日のデモを組織したとして国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)や、サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の支持者らを非難した。(c)AFP/Sammy Ketz