【2月7日 AFP】菅直人(Naoto Kan)首相は「北方領土の日」の7日、3か月前のドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)露大統領の国後島訪問を「許し難い暴挙」と批判し、北方領土問題の解決に強い意志で取り組む姿勢を示した。

 北方領土をめぐっては、前年11月にメドベージェフ大統領がロシアの指導者として初めて北方領土を訪問。その後も、日本政府の強い抗議にもかかわらず、ロシアの閣僚の訪問が相次ぎ、4日にはアナトリー・セルジュコフ(Anatoly Serdyukov)国防相が軍事施設を訪問したばかりだった。

 時事通信(Jiji Press)によると、「北方領土返還要求全国大会」であいさつした菅首相は、「四島の帰属問題を最終的に解決して平和条約を締結するとの基本方針に従い、強い意志を持って交渉を粘り強く進めたい」と語った。

 一方、10日からモスクワ(Moscow)を訪問をする前原誠司(Seiji Maehara)外相は、「政治生命を懸けて」北方領土返還に取り組むと表明。「(ロシアに)日本の立場を述べるために全身全霊の努力をする」と述べ、日露首脳会談での問題解決を期待しているとした。

■ロシア側は強調、「北方領土はロシア領」

 メドベージェフ大統領は前年12月、ロシアに北方領土を手放す考えがなく、日本はそのことを認識すべきだと述べた上で、北方領土への自由貿易地区創設を呼びかけていた。

 セルジュコフ国防相は4日、北方領土を訪問したのは、同地のロシア軍部隊が最新の兵器を充分に装備していることを確認するためだと述べた。前原外相はロシア大使を外務省に呼び厳重抗議。ロシア外務省は5日、「ロシア外務省はこのようなコメントにこれまで何度も対応しており、日本側がまだ続けることに失望している」と語っていた。

 一方、メドベージェフ大統領は4日の安全保障会議で、国防相の北方領土訪問は軍事力の誇示ではないと述べて日露の外交衝突を沈静化させようとする一方で、「(北方領土は)ロシア領であり、ほかのロシアの地域と動揺に明確な計画にもとづいた開発を行う必要がある」と、ロシア領であることを強調した。(c)AFP/Frank Zeller

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