【2月1日 AFP】(一部更新、写真追加)ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領の退陣を求める反政府デモが8日目を迎えた1日、これまでで最大規模の抗議行動に向けて人びとが集まっている。

 現地時間1日午後2時(日本時間同日午後8時)過ぎには首都カイロ(Cairo)の抗議デモの中心地、タハリール(Tahrir)広場は大群衆で埋め尽くされた。

■早朝から大勢の人が

 タハリール広場は1日早朝の時点ですでに数千人規模のデモ参加者であふれかえっていた。デモ参加者たちは1日、「百万人の行進」を首都とアレクサンドリア(Alexandria)で行い、ムバラク政権の退陣を求める。

 デモ参加者の多くは、タハリール広場で前日の夜を過ごした。戦車や軍部隊が広場を包囲するなか、広場に設営された数十のテントや草むらで多くの人びとが仮眠をとった。

 デモ参加者に発砲しないとの姿勢を表明した軍は、広場に入ろうとする人びとの身分証確認と身体検査を行っている。また、広場入口では、デモ隊側も独自の身分証確認をして、私服警官が広場に入り込むのを阻止しようとしていた。

■沸き立つ広場

 ジャケットにネクタイ、ジーンズという姿で広場にいた弁護士のオサマ・アラム(Osama Alam)さん(43)は「わたしは死ぬまでここにいる。もしここでわたしが死んだとしても、家族全員がわたしのことを誇りに思うだろう。エジプト国民が求めているのはこれ(抗議行動)なんだ」と語った。

「ムバラク大統領の棺(ひつぎ)」の作り物を抱えたデモ参加者がわきを通り抜ける中、別の年配の男性は、「この革命はどの政党にも、イスラムグループにも、あらゆる勢力にも属さない。エジプトの貧しき人びとの革命だ。ムバラクとその仲間は金を盗み職を盗んだ。貧しき人びとには職も家もない。そして警官に殴られる。犬のように扱われる。ムバラクは独裁者だ」と語った。

 広場の交差点には、信号機からムバラク大統領の人形が吊され、顔の部分には「首を落とせ」と書き込まれていた。

■各地で当局が交通封鎖か

 一方、地中海沿岸のアレクサンドリア(Alexandria)では、「百万人の行進」が予定されるなか、抗議デモを阻止しようと国営鉄道が止まり、主要道路が封鎖された。

 カイロからアレクサンドリアへ向かう主要道路を通行していたAFP特派員によると、軍がカイロに入る車両を止めており、100台以上のトラックや車が道路脇に停車していたという。また、運転手の1人が軍兵士に苦情を言ったところ、兵士は威嚇射撃を行い、市民らに下がるように命じたという。

■ムバラク氏が米元大使と会談か

 エジプトの最大野党・ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)は、ムバラク体制が崩壊するまでデモの継続を呼びかけている。また、エジプトの重要な同盟国である米国も、ムバラク大統領に対し、危機回避のためにさらなる行動をとるよう求めた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は1日、フランク・ワイズナー(Frank Wisner)元駐エジプト米大使が、ムバラク大統領と会談する予定だと報じた。

■反政府デモの死者は300人 国連推計

 一方、国連人権高等弁務官事務所(United Nations High Commissioner for Human Rights)は同日、エジプトの反政府デモでこれまでに300人が死亡したとの推定を発表した。(c)AFP/Charles Onians