【1月24日 AFP】反政府デモでジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)前大統領による強権体制が崩壊したチュニジアで23日、前政権色を残した暫定政権の退陣を求めるデモ隊が、首相府前の広場にテントを張るなど夜間外出禁止令を無視して泊り込み態勢での抗議運動を始めた。

 デモ隊メンバーらは、ベンアリ前大統領を国外脱出へ追い込むことには成功したが、モハメド・ガンヌーシ(Mohammed Ghannouchi)首相らベンアリ時代の閣僚を暫定政権から排除する必要があると主張。さらに、ベンアリ前大統領時代の与党・立憲民主連合(RCD)の解散も求めている。

 首相府前の広場には日中からデモ隊メンバーら数千人が集まり始め、テントを張ったり寝袋を持ち込んで野営態勢での抗議に入った。チュニジアでは、夜間外出禁止令に加えて非常事態宣言により集会も禁じられているが、周囲の治安部隊員らは、これを黙認している。デモ隊を武力で強制排除したベンアリ政権末期とは対照的だ。

 デモ隊メンバーの多くは貧しい地方部から集まった人びとだという。抗議デモを支援しているのは、ベンアリ政権を崩壊に追い込んだ抗議運動を主導したチュニジア労働総同盟(UGTT)だ。UGTTは、暫定政権の承認を拒否し続けている。

 ガンヌーシ首相は、市民らからの批判の声をうけ、1956年にフランスから独立して以来、初めてとなる民主的選挙が実施された後に、政界を引退すると表明している。だが、選挙の日程は明らかになっていない。

■政変の影響、周辺諸国にも波及

 チュニジアでの政変による影響は、周囲の中東諸国にも波及し始めている。チュニジアでの抗議デモのきっかけとなった焼身自殺を模倣したとみられる自殺が、アルジェリア、エジプト、モーリタニア、モロッコなどで相次いだほか、アルジェリアやイエメンで反政府デモが起きている。(c)AFP/Andrew Bushe

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