【11月24日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相は23日、サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で開催中の「世界トラ・サミット(International Tiger Conservation Forum)」に出席し、野生のトラの生息状況について「絶滅寸前だ」と危機感を訴えた。

 野生のトラを絶滅から救うことを目的にロシアで開かれているトラ・サミットは、各国指導者によるトラの保護に特化した世界初の会議で、中国の温家宝(Wen Jiabao)首相やバングラデシュのシェイク・ハシナ・ワゼド(Sheikh Hasina Wajed)首相らも出席している。会議では、2022年までに野生のトラの生息数を倍増させる計画を掲げている。

 プーチン首相は各国代表を前に、野生のトラの生息数はこの100年の間に約30分の1に激減し、現在ではわずか3200頭で、生息地面積も以前の7%に減ってしまったと指摘した。したがって「トラの生息状況は絶滅寸前といえる。これは悲しく嘆かわしい事態だ。私たちがこの会議で考えているのは次の選挙のことではない。私たちが素晴らしいと思うものを、未来の世代に残せるか否かなのだ」。

 さらに首相は「自然はわれわれの耳に届くことを願って、警鐘を鳴らしているのだ」と述べ、過去半世紀でトラが絶滅してしまったイランとカザフスタンに、トラを家族単位で贈呈することを提案した。

 タフな振る舞いで知られるプーチン首相がトラ好きであることは公認で、ロシア極東の野生トラの保護に個人的にも力を入れている。2008年には極東の保護地区で、トラの追跡調査のため自ら麻酔銃でトラを捕獲し、衛星送信機を取り付けたこともある。

 ロシアは世界で唯一、最近でも野生のトラの生息数が増えている国で、1960年代に約80~100頭まで落ち込んだ頭数が、現在は500頭前後まで回復している。

 世界トラ・サミットにはロシアに加え、トラの激減が懸念されているバングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、タイ、ベトナムの計13か国が参加している。また同サミットは、米俳優レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)さんが、トラ保護のために100万ドル(約8300万円)の寄附と会議への出席を発表したことでも注目された。(c)AFP/Olga Nedbayeva

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