【9月14日 AFP】サメに手や脚を食いちぎられながら一命を取り留めたダイバーら9人が13日、米ニューヨーク(New York)の国連(UN)本部に集まり、憎い敵(かたき)であるはずのサメの保護を訴えた。

 米国を拠点とする環境NGO「ピュー環境グループ(Pew Environment Group)」が主催した。凶暴な海の肉食魚たちも、今や絶滅の危機にあるという。

 昨年、豪シドニーハーバー(Sydney Harbour)でサメに右手と右ひざ下を食いちぎられたオーストラリア海軍のダイバー、ポール・デゲルダー(Paul de Gelder)さんは、「言葉を話せないサメたちに代わって、彼らの苦境を訴えに来た」と話した。
 
 サメは、ふかひれの材料として需要が高いため、近年は乱獲が進み、漁穫高は年間7300万匹に達している。「ピュー環境グループ」によると、ホオジロザメ、ヨゴレザメ、アオザメなどサメの30%にあたる種が絶滅の危機に瀕しているという。

 海洋学者らは、海洋の食物連鎖の頂点に立つサメが絶滅すれば、その影響は海の生態系全体に及ぶと警告している。

 こうしたことからピュー環境グループは、捕獲したサメからヒレだけをそぎ落とし、瀕死のサメを海へ投げ戻す漁業慣行の中止と、世界的なサメの漁穫制限の導入を求めて活動している。(c)AFP/Sebastian Smith