【9月14日 AFP】ケニア・ナイロビ(Nairobi)にある国際家畜研究所(International Livestock Research InstituteILRI)は10日、家畜の飼料を変えることで気候変動の抑制が可能だとする論文を発表した。

 論文によると、畜産業は、牧草地にするための森林伐採や牛のおなら、げっぷに含まれるメタンガス、牛の糞尿に含まれる亜酸化窒素などにより、地球全体の約18%にあたる温室効果ガスを排出している。

 そこで同研究所は、熱帯地方の国で、栄養価の高い牧草や作物の残りかすを補助的な飼料として家畜に与えること、劣化した牧草地を再生すること、繁殖率の高い種を飼育することなどを推奨している。
 
 論文は、中南米で牛を「ブラキアリア」という栄養価の高い牧草の種をまいた放牧地に移したところ、ミルクの生産量が増加し、体重の増加も最大で3倍になった事例を挙げ、「中南米の牧場主の約3割が飼料をブラキアリアに変えるだけで二酸化炭素(CO2)排出量を年間約3000万トン減らせる可能性がある」としている。

 論文を執筆したフィリップ・ソーントン(Philip Thornton)氏は、家畜の飼育方法の変更は、熱帯地方の貧困農家5億人にとって大きな負担になることを認めている。

 しかし、もし欧州の温暖化ガス排出量取引所の欧州気候取引所(European Climate Exchange)での最近の相場、1トン=20ドル(約1700円)程度で熱帯地方の牧場主が温暖化ガスの排出権を売ることができれば、年間約13億ドル(約1000億円)の収入になると試算し、「農家にとって大きなインセンティブになる」としている。(c)AFP