【8月27日 AFP】アイルランドのロックバンドU2がモスクワ(Moscow)で26日行ったロシア初のコンサートで、7万5000人のファンが集結した会場付近でアピール活動をしていた人権活動家らが警察当局に身柄を拘束される事態となった。

 コンサートの最中、前日に同国のドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領と面会してポリオやHIVの感染拡大の防止などについて話し合ったボーカルのボノ(Bono)は、大統領を「慈悲深い」とたたえた。

 しかし、会場の外では、パンフレットを配布し署名を集めていた活動家が連れ出されただけでなく、U2の慈善基金「ワン(One)」の活動も阻止され、テントが撤去されたという。

 環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)ロシア支部のイワン・ブロコフ(Ivan Blokov)氏は、「アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)、グリーンピース、ワンのテントが警察によって撤去され、われわれは署名を集めたり来場者と話したりすることができなかった。ワンの活動はU2側も同意していたのでとても驚いた」と話した。

 一方のモスクワ警察は、コンサートは音楽と政治を融合する場所ではないとの見解を示している。インタファクス(Interfax)通信は、「無許可の活動家に対する拘束で、疑問を差し挟む余地はない」との警察報道官のコメントを伝えた。

 アムネスティ・インターナショナルのロシア支部のセルゲイ・ニキティン(Sergei Nikitin)支部長は、コンサート前に5人の活動家が身柄を拘束されたと指摘。「文明国とみなされているロシアで、署名集めがこれほど当局を不安にさせるというのは悲しいこと。当局が市民を恐れているという印象を与えるだろう」と述べた。

 ニキティン支部長はまた、アムネスティはU2の欧州ツアーに帯同して同様の活動を行っており、米国から同団体の活動家2人も同行していると主張。ボノも同団体の主な活動家の1人であることに言及し、「我々に起こったことをボノが知っているのか分からない」と語った。(c)AFP/Alissa de Carbonnel