【8月23日 AFP】(一部更新、写真追加)フィリピン首都マニラ(Manila)で23日、香港からのツアー客を乗せた観光バスが武装した元警察官に乗っ取られていた事件で、警官隊は同日夜、車内に突入した。7人が救出されたものの、人質8人が死亡、犯人は射殺された。この様子は、現地の国営テレビで放映された。

 人質解放に向けた交渉が続けられてきたが、犯人は夜になって無差別に発砲を始めたため、警官隊が突入。事件発生から12時間後にバスを制圧した。警察の発表によると、人質たちを「人間の盾」にしていた犯人はその場で射殺された。

 運転手は、警官隊が突入する直前に窓から脱出した。
 
 ベニグノ・アキノ(Benigno Aquino)大統領は、観光客8人の死亡が確認されたと発表した。赤十字社(Red Cross)によると、7人が負傷し病院に搬送された。

 15人の観光客が乗っていたと見られるバスは、市内有数の観光地リザル公園(Rizal Park)に停車中だった。警察署からは数ブロックしか離れていなかった。

■「フィリピンで最も優秀な10人の警察官」の1人に選ばれたことも

 立てこもっていたのは元警察官のロランド・メンドーサ(Rolando Mendoza)容疑者(55)。警官隊が包囲する前にラジオ局に対し、警官隊が撤退しなければ人質を殺すと述べていた。

「中国人2人を撃った。やつら(警察)が止めなければ、全員殺す。SWATがいるのが見える。おれを殺すのはわかっている。おれを殺すのであれば、ここで同じことをやってやる」

 同容疑者は、1986年に「フィリピンで最も優秀な10人の警察官」の1人として、警察署長から表彰されたことがある。だが2008年、麻薬関連犯罪と恐喝の容疑がかかり、解雇された。容疑者はこれに不満を持っており、自らの復職を要求していた。(c)AFP/Mynardo Macaraig