【8月10日 AFP】記録的猛暑に見舞われているロシア・モスクワ(Moscow)では、森林火災で発生したスモッグの影響などで、1日あたりの死者数が例年の2倍になっている。

 モスクワ市内は、数日前から、約100キロ先から流れ込んできた泥炭および森林火災のスモッグが分厚く垂れ込めている。アパートやオフィスビル、地下鉄駅の構内にもスモッグが侵入している。

 市衛生当局者は9日、テレビ局の取材に、「通常であれば1日あたりの死者数は360人から380人だが、現在は約700人。死体安置所の収容人数もそろそろ限界だ」と話した。 

■モスクワ市民が大挙して避難

 一方、救急当局は同日、森林火災の発生件数がロシア中央部とモスクワ近辺で約557件、延焼面積が17万4000ヘクタールにのぼることを明らかにした。火はウラル(Urals)地方にある核再処理施設にも迫っているという。

 ロシア航空機関Rosaviatsiaによると、8日にモスクワ発の便に搭乗した人は10万4000人以上と、1日あたり旅客者数では今年最高を記録した。

 モスクワにとどまった市民の多くは、スモッグ対策としてマスクを着用している。

■穀物生産高を下方修正
 
 大気汚染監視当局は9日、モスクワの大気中の一酸化炭素濃度を許容レベルの2.2倍と発表した。8日は3.1倍、7日は6.6倍だったという。

 現地のドイツ大使館は既に無期限で業務を停止している。米国務省は、大使館員の子どもや家族をモスクワから避難させることを検討している。

 国内メディアによると、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相は、ロシアの2010年の穀物生産高予測を前週発表した7000万~7500万トンから6000万~6500万トンに下方修正した。(c)AFP/Anna Smolchenko

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