【7月1日 AFP】巨大なあごと歯を持ち、自分の体の半分ほどの大きさのクジラを捕食していたと考えられる新種のマッコウクジラ類の化石をペルーで発掘したと、ベルギーの研究チームが1日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

 ベルギー王立自然科学博物館(Royal Belgian Institute of Natural Sciences)のオリビエ・ランベール(Olivier Lambert)氏らは、ペルーのピスコ(Pisco)でマッコウクジラ類の頭とあごの骨を発掘した。あごの上下には、人間の前腕ほども長く太い歯がびっしりと生えていた。

 名作「白鯨(Moby Dick)」の作者名(ハーマン・メルヴィル)にちなんで「レビアタン・メルビレイ(Leviathan melvillei)」と名づけられた全長14メートルのこの巨大クジラは、1200~1300万年前に生息していた。象牙のような頑丈な歯で大きな獲物をしっかりととらえ、鋭い歯先で体を引き裂いて捕食していたとみられ、海における食物連鎖の頂点の座を巨大サメと分け合っていたと考えられるという。

  「最も頻繁に食べていたのは、体長7~8メートルのヒゲクジラではないか。ヒゲクジラは非常に強力な尾びれを持っている。あごの中でもがいた時の負荷は相当なものだっただろう」とランベール氏。生態としてはシャチに似ているが、体格はシャチより3~4倍大きい。

 現在のマッコウクジラも恐るべきハンターだが、歯は比較的小さく、下あごにしか生えていない。イカを主食とし、獲物は吸い込んで捕食する。(c)AFP