【6月19日 AFP】キルギス南部で発生した民族衝突で、同国のローザ・オトゥンバエワ(Roza Otunbayeva)暫定大統領は18日、死者数が保健省の推計を大幅に上回り、2000人に上る可能性があるとの見解を示した。国連(UN)によれば、キルギスの民族衝突により100万人が影響を受けた恐れがある。

 オトゥンバエワ暫定大統領は18日、約1週間前の衝突発生後初めて南部オシ(Osh)を訪問。ラジオ番組で、キルギス保健省が同日発表した死者数192人について、実際の死者数よりもはるかに少ないとの見解を示し、「キルギス南部における公式死者数を10倍以上に引き上げる必要があるだろう」と語った。

■100万人に影響か

 一方、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)のGiuseppe Annunziata緊急援助計画調整官は、衝突による影響は最悪で100万人に及ぶ恐れがあると述べ、「直接的、間接的に今回の出来事の影響を受けている人の数が100万人に上ると想定して対応にあたっている」「そのうち30万人は避難民である」と語った。

 また、国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、衝突により影響を受けた約100万人の人びとを支援するために、7100万ドル(約64億円)規模の人道支援が必要だと呼びかけた。

■衝突の責任、国連が調査要求

 国連人権理事会(UN Human Rights Council)は18日、キルギス政府に対し、「最近の民族衝突と、暫定政府が樹立された4月の暴動」について、「死者が出たことに責任のある人物を追及するための全面的で透明な調査の実施」を求めた。さらにロバート・ブレイク(Robert Blake)米国務次官補(南・中央アジア担当)は、暴動や衝突への独立機関による調査が必要だと踏み込んだ見解を示した。(c)AFP/Antoine Lambroschini