【5月30日 AFP】英作家ルイス・キャロル(Lewis Carroll)の『不思議の国のアリス(Alice in Wonderland)』(1865年)の続編から1章が削除されていたことが、27日にロンドン(London)で競売にかけられた書簡で明らかになった。

 想像力に富んだキャラクターが登場する『不思議の~』シリーズだが、1871年に出版された続編の『鏡の国のアリス(Through the Looking Glass and What Alice Found There)』の挿絵を描いた画家がもう1つのキャラクター、「かつらを被ったカリバチ(Wasp in a Wig)」の絵を描くことを拒んでいたことが分かった。

 ロンドンの古書類競売ブルームズベリー・オークションズ(Bloomsbury Auctions)で売りに出された挿絵画家のジョン・テニエル(Sir John Tenniel)がキャロルにあてた1870年6月1日付けの書簡でテニエルは、「ひどいと思わないでほしいのだが、『カリバチ』の章は私には面白くなかったと言わなければならないし…絵が考えつかない」「もしきみがこの本を短くしたいと思っているとすれば、(この章は)きみにとって絶好の機会だと考えざるを得ない」と書いている。

 テニエルは、当時まだあまり知られていなかった著者のルイス・キャロル(本名チャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン、Charles Lutwidge Dodgson)よりもはるかに著名だった。

 キャロルは忠告を受け入れ、赤と白の女王やトゥイートルダム(Tweedledum)とトゥイートルディー(Tweedledee)、セイウチ、大工などが登場する『鏡の国のアリス』から、かつらを被ったカリバチが登場するエピソードを削除した。

 この書簡の落札価格は1万5000~2万ポンド(約200万~260万円)と予想されている。

 ウサギの穴から不思議の国に落ちた少女アリスが、白うさぎやチェシャ猫(Cheshire Cat)、ハートの女王(Queen of Hearts)、三月うさぎ(March Hare)、いかれ帽子屋(Mad Hatter)たちと繰り広げる物語は、子どもから大人まであらゆる世代を楽しませてきた。

 この春にはジョニー・デップ(Johnny Depp)とミア・ワシコウスカ(Mia Wasikowska)が出演したティム・バートン(Tim Burton)監督の3D映画、『アリス・イン・ワンダーランド(Alice in Wonderland)』も公開され、大ヒットした。(c)AFP