【5月19日 AFP】(写真追加)4月10日にポーランドのレフ・カチンスキ(Lech Kaczynski)大統領らを乗せた政府専用機がロシア西部のスモレンスク(Smolensk)で墜落し大統領夫妻ら96人が死亡した事故の原因を調べているポーランド・ロシア両国による事故調査委員会は19日、モスクワ(Moscow)で記者会見を開き、パイロットが管制官の警告を無視していたことを初めて明らかにした。

 調査委のアレクセイ・モロゾフ(Alexei Morozov)技術小委員長は、管制官が、霧のため空港の視程は400メートルしかないと2度にわたり警告したにもかかわらず、パイロットが着陸を強行したと述べた。

 また、政府専用機の乗員は墜落の16分前、当日さきに目的地の空港に着陸していたポーランド空軍のYak-40小型ジェット機の乗員から、空港周辺の視程が400メートルしかないという連絡を受けていた。さらに墜落の4分前、Yak-40から視程は200メートルとの連絡が入った。

■操縦席に乗員以外の声、テロの可能性は排除

 また事故調査委員会のタチアナ・アノディナ(Tatyana Anodina)委員長によると、数週間かけてブラックボックスのデータを分析した結果、録音されていた声から、乗員以外の人物が少なくとも2人、操縦席にいたことが確認されたという。

 アノディナ委員長は1人の声の主が特定されたと述べたが、それが誰なのかは明らかにしなかった。ポーランド通信(PAP)は調査委員会に近い筋の話として、その声の主はAndrzej Blasik空軍司令官だったと報じた。

 ポーランドから調査委員会に参加しているエドムンド・クリフ(Edmund Klich)氏は、乗員以外の複数の人物が操縦室にいたのは墜落前の16~20分前だったことを明らかにし、「個人的にはこのことが事故の決定的な原因だったとは思わないが、この点は徹底的な調査によってのみ明らかになるだろう」と述べた。

 アノディナ委員長はまた、テロや機器類の故障が墜落の原因ではなかったことを技術小委員会が確認したと述べたが、その詳しい根拠は示さなかった。事故から5週間以上が過ぎたが、明確な事故原因はいまだ明らかにされていない。(c)AFP/Stuart Williams and Alexander Osipovich