【5月11日 AFP】米南部ルイジアナ(Louisiana)州沖のメキシコ湾(Gulf of Mexico)で起きた石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン(Deepwater Horizon)」の爆発・水没による原油流出事故で、関係する3社が責任を押しつけ合っていることが、11日に行われる上院エネルギー天然資源委員会(Energy and Natural Resources Committee)での証言のために準備された書面で明らかになった。

 石油掘削施設を操業していた英エネルギー大手BPは、原油流出を食い止めるための「ブローアウト・プリベンター」という巨大なバルブ装置が機能しなかったのは、掘削施設を所有するトランスオーシャン(Transocean)の責任だとしている。しかしトランスオーシャンは、石油生産設備のハリバートン(Halliburton)が行ったケーシング(掘削した穴の内側に内枠をつける作業)と油井上部につける一時的なセメントの栓、使われたセメントの状態に問題があったとしている。

■小型の装置で再挑戦

 前週末、巨大な鋼鉄の容器を流出源に沈めて原油を回収する計画が低い海水温により装置に水和物が付着して失敗したことを受け、BPは今週、「トップハット(Top Hat、シルクハットの意)」と名付けたやや小型の容器で再挑戦することにしている。容量が小さくなる分、回収できる原油は減るが、容器内の冷たい海水の量も少なくなることから付着する水和物も減り、前回と同じ失敗を回避できるとBPでは考えている。

 また、BPは掘削施設の水没からこれまでにかかった対策費は3億5000万ドル(約320億円)に達したと発表した。

■連邦政府も対応を強化

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は10日、ホワイトハウス(White House)に関係閣僚を集めて今後の対応を協議し、原油流出の被害を抑制するため現在の法律を強化・改善する法案を議会に送るよう求めた。また、スティーブン・チュー(Steven Chu)エネルギー長官が率いる代表団をテキサス(Texas)州ヒューストン(Houston)に送りBPと協議させて解決策を模索するほか、沿岸のアラバマ(Alabama)州の被害を最小限にとどめるため、ジャネット・ナポリターノ(Janet Napolitano)国土安全保障長官に同州の復旧作業の視察を命じた。(c)AFP/Allen Johnson