【4月22日 AFP】肺のないカエルに「恋の矢」を放つナメクジ――。環境保護団体「世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)」は22日、東南アジアのボルネオ(Borneo)島で新たに123種の生物種を発見したとする報告書を公表した。

 報告書は、マレーシア、インドネシア、ブルネイにまたがるボルネオ島の22万平方キロにも及ぶ熱帯雨林を対象としたもの。これら3か国は2007年、熱帯雨林を保護する目的で、この一帯を「ハート・オブ・ボルネオ(ボルネオの心臓、Heart of Borneo)」と命名している。

 報告書によると、世界中でもこの一帯にしか生息していない生物は、霊長類10種、鳥類350種以上、は虫類と両生類150種、植物は約1万種に上る。

 新たに見つかった生物の1つが、08年に発見された全長7センチで頭が平らなカエル「学名:Barbourula kalimantanensis」だ。このカエルは肺を持たず、皮膚で呼吸しているという。同年には、胴体の長さが36センチある世界最長のナナフシ「学名:Phobaeticus chani」も発見されたが、これは今までに3個体しか見つかっていない。
 
 ユニークなものとしては、尾が長く、生殖のチャンスを増やすために「恋矢(れんし)」を使うナメクジ「学名:Ibycus rachelae」が発見されている。恋矢は炭酸カルシウムでできており、これを交尾相手に突き刺してホルモンを注入する。(c)AFP

【図解】ボルネオ島の熱帯雨林「ハート・オブ・ボルネオ」